プロテニスプレイヤーの大坂なおみ選手が、全米オープンで元世界ランク1位のV・アザレンカ(ベラルーシ)選手を、1-6 / 6-3 / 6-3の逆転で下し、2年ぶり2度目の全米オープン優勝を果たしました。
今大会で大坂なおみ選手は、人種差別への抗議の意を示した「黒いマスク」を、優勝までの全試合数の計7枚用意していて、その7枚全てを着用して試合を終えることが出来ています。
そこで今回は、大坂なおみ選手が付けていた全7枚の「黒いマスク」に書かれた名前一覧と、その背景にあるものや意図するものなどを含めて調べてみました。
大坂なおみ選手が名前入りの「黒いマスク」を付けていた理由・経緯
✓ ことの発端はこちらの事件
これまでにもアメリカ国内では、警察の黒人に対する人種差別とも受け取れる行き過ぎた暴力被害が相次ぎ、今回の事件に関しても、『7回も撃つ必要があったのか?』などと非難の声が上がることになったわけですね。
大坂なおみ選手は、父はハイチ出身、母が日本人と、半分は黒人の血が流れているということもあり、今大会で着用した黒いマスクに、アメリカで警察の人種差別的な暴力の被害に遭った黒人犠牲者たちの名前を書いて、人種差別への抗議の意を示した、という経緯です。
大坂なおみの全7枚の黒いマスクに書かれた名前
大坂なおみ選手が付けていた「黒いマスク」は全部で7枚。
その7枚の「黒いマスク」に白字で記載された文字(被害者の名前)と、その背景にある事件の詳細を、解説していきます。
大坂なおみの1回戦の黒いマスク①「BREONNA TAYLOR」

(ブリオナ・テイラー)
✓ 事件の詳細
今年の3月13日、救急救命士のブリアンナ・テイラーさんと、その交際相手が寝ている際に警察が踏み込み、テイラーさんに8回発砲するも、その後住所が間違っていたことが判明。本人は亡くなった。
大坂なおみの2回戦の黒いマスク②「ELIJAH MCCLAIN」

(イライジャ・マクレイン)
✓ 事件の詳細
2019年、当時23歳のイライジャ・マクレインは、不審者がいるとの匿名通報から突如警官に拘束され、押さえつけられ圧迫気絶、更には鎮静剤ケタミンを注射され、心不全を起こし数日後に亡くなる。
拘束された理由は、手配中の「不審人物」に外見が似ていたから。
大坂なおみの3回戦の黒いマスク③「AHMAUD ARBERY」

(アフマド・アーベリー)
2020年2月、ジョギングをしていたアフマド・アーベリー(25歳)は、白人男性親子にピックアップトラック(軽トラ)で追い回されたのち、銃で射殺される。その際に白人親子は人種差別的な発言をしており、その動画がネット上にあがりさらに大問題となる。
大坂なおみの4回戦の黒いマスク④「TRAYVON MARTIN」

(トレイヴォン・マーティン)
2012年、トレイヴォン・マーティンさん(17才)は、スパニック系の白人で自警団に所属するジョージ・ジマーマンさん(当時28)に胸を撃たれて死亡。
理由は、マーティンさんが挙動不審だったために尾行し、言い争いになった為射殺。のちに裁判で正当防衛ということで無罪が言い渡され、黒人への人種差別だと問題となる。
大坂なおみの準々決勝の黒いマスク⑤「GEORGE FLOYD」

(ジョージ・フロイド)
2020年5月25日当日、一人の白人の警察官デレク・ショーヴィン(Derek Chauvin)を被疑者とする告訴状によると、偽ドル札の使用容疑により手錠をかけられたフロイドが、呼吸ができない、助けてくれ、と懇願していたにも関わらず、8分46秒間フロイドの頸部を膝で強く押さえつけ、フロイドを死亡させた。その時間の中で、フロイドの反応が見られなくなった後の2分53秒間においても当該警察官はフロイドの頸部を膝で押さえつけていた。
引用:Wikipedia『ジョージ・フロイドの死』
大坂なおみの準決勝の黒いマスク⑥「PHILANDO CASTILE」

(フィランド・カスティール)
2016年7月、フィランド・カスティールさん(32)は、車のバックライトが消灯していた理由で警察に呼び止められる。
職質に応じたカスティールさんは、認可を得て銃所持していることを告げて免許書と提示しようとして撃たれる。
その一部始終を、カスティールさんの恋人が生配信しており問題となった。
大坂なおみの決勝の黒いマスク⑦「TAMIR RICE」

(タミル・ライス)
✓ 事件の詳細
2014年11月、当時若干12歳のタミル・ライスくんは、市内の公園でおもちゃの銃を人に向けて遊んでいたという。そこに『銃口を人無向けている子供がいる』との通報を受てかけつけた警官が到着、ライスくんに3度『手を上げろ!』と命じるもそれに応じなかった為に撃たれ、のちに亡くなる。
まとめ:大坂なおみの全7枚の黒いマスクに書かれた名前一覧とその背景と詳細
今回は、大坂なおみ選手が全米オープン入場の際に着けていた「黒いマスク」の全7種類を一覧でご紹介しました。
最後に、大坂なおみ選手本人より、今回の人種差別抗議に対する黒いマスクを装着した思いなどを投稿したTwitterがありましたので、こちらを紹介して終わりたいと思います。
— NaomiOsaka大坂なおみ (@naomiosaka) August 27, 2020