先日、宝塚音楽学校が不文律廃止するというニュースが報道されました。
「不文律(ふぶんりつ)」とは、これまでのしきたりや暗黙のルールのことで、「予科顔」や「予科語」とは、予科生(下級生)が本科生(上級生)に対して使用する言葉遣いや表情、礼儀作法のことです。
宝塚音楽学校では、普段から先輩後輩の上下関係が厳しく、それらが伝統となっていたようです。
✓ こちらが今回の廃止された不文律
阪急電車への一礼、やめます 宝塚音楽学校https://t.co/d3GXqo7m5G
— 朝日新聞東京編集局コブク郎 (@asahi_tokyo) September 11, 2020
先輩が利用する阪急電車への一礼、先輩の前での決まった表情――。宝塚音楽学校が、受け継がれてきた不文律をなくしました。
上級生が下級生を一対一で指導する「伝統」も、下級生に負担が生じていたとして廃止に踏み切りました。 pic.twitter.com/JutjLDf8HL
宝塚の世界は厳しいとはよく耳にしますが、いったいこれまでどんな伝統やルール、しきたりがあったのか、気になったので調べてみました。
そもそも宝塚音楽学校ってどんな学校?
宝塚音楽学校は、兵庫県宝塚市にある私立女子学校。
平成25年(2013年)に、創立100周年を迎えた歴史ある学校です。
1年目は予科生・2年目は本科生、合わせて2年制の「宝塚歌劇団」団員養成所となります。
【宝塚音楽学校:応募資格】
- 年齢制限:14~18歳まで
- 学歴条件:中学卒業、あるいは高等学校卒業、または高等学校在学中
- 応募条件:『容姿端麗で、卒業後宝塚歌劇団生徒として舞台人に適する方』
毎年、全国からおよそ1000名を超える応募がありますが、そのうち合格できるのはたったの40名。
その倍率はなんと25倍となり、その狭き門から『東の東大、西の宝塚』といわれるぐらいの最難関学校になっています。
しかし、この音楽学校に入学し、厳しい2年を経て卒業した者だけが、あの「宝塚歌劇団」=『華やかな舞台に立てるタカラジェンヌになれる』という訳ですね。
✓ 主な宝塚音楽学校の卒業生
- 小柳ルミ子 さん
(歌手:『瀬戸の花嫁』『お久しぶりね』など) - 天海祐希 さん
(女優:ドラマ『離婚弁護士』『女王の教室』など) - 真矢みき さん
(女優:『下町ロケット』、朝の情報番組『ビビット』の司会 など) - 檀れい さん
(女優:映画『武士の一分』、サントリー金麦のCM など) - 遼河はるひ さん
(女優:バラエティーや、『スッキリ!!』のコメンテーター など) - はいだしょうこ さん
(歌手:女優・タレント・元NHK歌のお姉さん)
すごい顔ぶれですねー。
はいだしょうこさんって宝塚出身だったんですね。宝塚は絵の授業は…なかったのでしょうか(笑)
宝塚音楽学校のこれまでの伝統やルール、しきたりとは?
遅くなりましたが、さっそく本題の「宝塚音楽学校のこれまでの伝統やルール、しきたり」について解説していきます。
宝塚音楽学校のこれまでの「学校内」での伝統やルール、しきたり
まずは、宝塚音楽学校の「学校内」での伝統やルール、しきたりについてです。
- 廊下では私語禁止
- 廊下は壁に沿って一列で歩く
- 廊下の角は壁に沿って直角に曲がる
- 先輩へ歯を見せて笑うことも失礼になる
- 自衛隊の方を更新に招いた訓練があり、列を組んで行進するが一糸乱れぬ行進ができるまでしごかれる
- 下級生は上級生を見下ろしてはいけない
- 上級生が座っていたら下級生は膝をついて話す
- 上級生には常に気を遣う
- 1年目の予科生は基本掃除に始まり掃除に終わる
- ひとりひとり掃除の場所が決められ、1年間同じ場所を念入りに掃除する
- ホコリ、髪の毛一本でも取り除かなければならない
(制服のスカートの中にガムテープを仕込んで置いて、常に掃除できる状態にしておくというのは有名な話だそうです)
宝塚音楽学校のこれまでの「寮内」での伝統やルール、しきたり
そしてこちらが、宝塚音楽学校の「寮内」での伝統やルール、しきたりです。
- 雑音を立ててはいけない
- 階段の上り下りで音を立ててはいけない
- 廊下でおしゃべり厳禁
- 食事を買ってきた際のビニールを開ける音をさせてはいけない
- 電子レンジは『チン』がなる前に開けないといけない
- 目覚まし時計の音を鳴らしてはいけない
(1年目の予科生は朝の掃除があるため、4時・5時起きだが、先輩を起こさないように目覚ましを秒で止める) - トイレ掃除担当の人は、洗面台の花瓶を置く位置なども細かく決められており、少しでもズレていたらやり直しさせられる
- 予科生(下級生)は、毎晩自分の行動を振り返る「反省会」というものを行わないといけない
- 寮生は2列に整列して通学しないといけない
宝塚音楽学校のこれまでの「電車内」での伝統やルール、しきたり
最後に、宝塚音楽学校の「電車内」での伝統やルール、しきたりです。
- 電車に乗るときは、必ず一番後ろの車両に乗る
- 電車内での着席は厳禁
- 電車を待つ時は、プラットホームに2列に並ぶ
- 電車を見たら、先輩が乗っているかもしれないと言う事で、とにかく電車に向かっておじぎをする
- おじぎをしてないところを見られると、呼び出され廊下に立たせられたり、夜に先輩が部屋にきて指導を受ける
まとめ:宝塚音楽学校の予科顔や予科語、これまでの伝統やルール・しきたりとは?
今回は、宝塚音楽学校の予科顔や予科語、これまでの伝統やルール・しきたりについて解説してきました。
個人的な感想としては、なんだかPL学園高校の野球部の伝説の寮生活と似てるなぁと感じました。
ひと昔前までは、こういった先輩後輩の上下関係が普通だったんでしょうけど、やはり時代が変わったんでしょうね。
ちなみに、元宝塚出身の東小雪さんの著者本「なかったことにしたくない 実父から性虐待を受けた私の告白」で、宝塚音楽学校時代の詳細について語られています。
そこで「予科語」についても触れられていましたので、紹介しておきます。
予科語は原則「七つの言葉」しか発することは許されない。
- 「おはようございます」
- 「おつかれさまでした」
- 「すみませんでした」
- 「失礼します」
- 「はい」
- 「いいえ」
- 「ありがとうございます」
ただし、「いいえ」はあまり多く使うと反抗的とみなされていた為、実質使えるのは「六つ」だった。
※元宝塚 東小雪さんの著者本「なかったことにしたくない 実父から性虐待を受けた私の告白」より引用
【PR】
この宝塚音楽学校の伝統的な「不文律」廃止については、賛否両論上がっていますが、大切なのはじっさいに宝塚音楽学校に通っている生徒の声や、卒業生へのヒアリングなのかもしれませんね。
なんにしても、「清く・正しく・美しく」という宝塚音楽学校のモットーを大切にして、一流のタカラジェンヌを創り上げるという、本来の目的から逸れないような変革や環境づくりがこれから必要になってくるんでしょうね。
日本でもトップを走る、伝統的な宝塚歌劇団、今後もぜひとも頑張ってほしいものです。