先日またしてもスペインの「美術品の修復」で、とんでもない出来栄えになってしまったと話題になっています。
その問題になっている美術品の画像がこちら
A 1923 statue of a smiling woman surrounded by livestock is part of a bank facade in Spain. Rather than getting her broken face restored, she’s been disfigured. The artwork is being called “The Potato Head of Palencia”.
— Breakfast Television Toronto (@BTtoronto) November 12, 2020
📸: Antonio Guzmán Capel, Facebook pic.twitter.com/onm9Lvc9e7
おー、顔が…目が…(笑)
ということで、今回は世界の美術品の「修復失敗」の数々をまとめてみましたので、「なぜこうなってしまったのか?」といったその隠れた背景もあわせて解説していきます♪
けっこう衝撃の新事実が見えたりします。
スペイン パレンシアのメインストリート沿いの女性像の修復
まずは冒頭で紹介した、芸術大国スペインのパレンシアのメイン通り沿いにある女性像から。
いまから約100年前の1923年、銀行の建物正面のデザインとして彫られ、『家畜農家の牧歌が聞こえてくる、のどかな風景の中で優しく微笑んでいる女性』をイメージして創られた芸術作品。
✓ 修復前
確かにイメージ通り、優しく微笑んでいるように見えますね。
✓ 修復後
…ど、どうしたよ(笑)
もうこれは「復元」というか、完全に「破壊」しにいってますね(笑)
ちなみにこの修復後の女性像は、地元で「ポテトヘッド」と名付けられているそうで、修復した人物(会社)は非公開。
まぁさすがに、誹謗中傷必至でしょうね。
そんな悲惨な女性像ですが、いったいどんな景観にそびえたつものなのか、その雰囲気が知りたくなり、Googleマップで調べてみました♪
え…!?こんなところ!?
…と、思わず声が出るほど高い場所に彫られていましたが、お分かりになられましたか?
かなり上の方です。
正直もっと人目の付く場所にあるものかと想像していたんですが、まるっきり違いましたね。
この場所ならそこまで問題視するほどのものでもないんじゃない?といった感じです。
しかしそれよりもなによりも、よくこんな高いところの女性像の復元失敗を見つけたものだなと、逆にそっちの方が驚きです(笑)
15世紀につくられた木彫りの聖母子像の修復
さて続いては、スペイン北部のアストゥリアス自治州にあるラニャドイロという村の小さな教会から。
こちらは今から約500年前、15世紀から教会に飾られていた、聖アンナの隣に娘のマリアと子イエスの木彫り像。
まずは修復前の状態から確認していきましょう。
✓ 修復前の木製聖母子像
とても厳かな雰囲気の彫刻作品ですね。
こちらの聖母子像、アストゥリアス地区で最も重要な神聖芸術作品のひとつ、といわれていたモノなんですが…。
✓ 変わり果てたお姿がこちら
なんと…。なぜに色付けを?
これではお菓子のおまけです…。
こちらのいきさつを調べてみたら、どうやら教会の近くのタバコ屋を営むマリア・ルイサ・メネンデスさんという女性が、教会の許可を取って修復をおこなったとのこと。
本人曰く『私はプロの画家ではないけれど、仕上がりには満足してます』と。
これにはさすがの地方自治体も「ラニャドイロ村の恥だっ!」と大激怒し、法的措置まで検討する状態にまでなったそうです。
ところが皮肉なことに、この女性による奇跡の修復?が功を奏し、変わり果てたマリア像を見ようと、人口5,000人の村になんと13万人以上の観光客が押し寄せることになったというから、一概にその女性を責めることもできなくなってしまったとか。
スペイン エステーリャ地方の教会にある聖ゲオルギオス像の修復
さてお次も、またまた芸術大国スペインから。
場所はスペインのエステーリャ地方にあるサンミゲル教会、修復物は16世紀に造られた聖ゲオルギオスの木彫り像。※聖ゲオルギオスといえば、ドラゴン退治伝説が有名なキリスト教の聖人の一人。
そんな伝説の聖人の像(修復前)がこちら
ん…、確かに400年前の歴史を感じさせる、深みのある彫刻ですね。
そしてこちらが修復後の姿。
いやー、なんというか…軽い(笑)
これまたお菓子のおまけにしかみえません(笑)
じつはこれ、教会としては汚れを落とす「清掃」だけ頼んだつもりだったらしいんですが、頼まれた人間(美術教師)は気を利かせて「塗装」で修復をしてしまったらしいです。
教会も頼む相手を考えないといけないですよね(笑)
もちろん、頼まれた美術教師の美的センスもどうかと思いますが…(笑)
けっきょく教会側は、別の修復の専門業者に依頼をかけて、なんとか無事原状回復できたようです。
ちなみにその費用、日本円で370万円(笑)
※一番右が原状回復した画像↓
スペイン北部ナバラ州の当局は24日、素人が手掛けた修復によって漫画のキャラクターのようになってしまったと批判されていた16世紀の聖像について、原状を回復したと発表した。https://t.co/mSD891UMlZ pic.twitter.com/sBC9FhdCun
— AFPBB News (@afpbbcom) July 11, 2019
スペイン ボルハの教会のフレスコ画「この人を見よ」修復
さて、続きましてまたしてもスペインから。
相変わらずスペインは破壊王が多いですね(笑)
スペイン北東部のボルハという町にある小さな教会で、その修復事故は起こります。
こちらは19世紀、今から100年以上前に教会の柱に直接描かれたとされるキリスト。
経年劣化により、みすぼらしくなったキリストの絵を見るに見かねて、信者のセシリア・ヒメネスさん(80歳)は善意で修繕をします。
そして出来上がった姿がこちら。
…これは…さすがにヤバい(笑)
この変わり果てたキリストを見た地元の住民らからは苦情が殺到します。
さらにはこの噂を聞きつけたマスコミが押し寄せ、世界中にこの失態が知れ渡ることとなりました。
マスコミからの取材を受けたセシリア・ヒメネスさん(80歳)は、『以前の絵もとても良かったけど、私はこれも本当に気に入っているわ』と、答えたそうです。
いやー、先程の人といい、とんでもない強気コメントですね(笑)
『これはやらかしてしまった…』と作業中に感じていたのではないかと思いきや、じつは案外そんなこともなかったようです。
なぜなら、セシリア・ヒメネスさんはこの騒動後に、自身の個展も開いてますので(笑)
いやー、鋼のメンタルおそれいりました(笑)
スペイン バレンシアの美術品「無原罪の御宿り -エル・エスコリアル-」の修復
さて、またしても芸術やらかし大国スペインのバレンシアから。
有名画家ムリーリョ氏の代表作品でもある「無原罪の御宿り -エル・エスコリアル-」
1660~65年頃に、若々しい聖母マリアの姿を描いた希少な美術品とされています。
拡大画像
とても美人で聡明な表情ですねー。
この絵の所有者は、スペインのバレンシアに住む美術品の収集家。
描かれてから400年近く経つ為、家具修復業者に14.5万円を支払い修復を依頼します。
そして出来上がった姿がこちら。
え!?…誰?(笑)
原画の面影もなくなってしまった絵を見た持ち主は大激怒、すぐに元通りにしろと命じます。
そして二度目の修復後の姿がこちら
衝撃すぎて、もう…
これは、ただのおばさんです(笑)
しかしこの修復ぶりを見る限り、この業者もはらいせにわざとやってるんじゃないの?と疑いたくなるような仕上がりですよね。
完全に、元に戻す気ゼロですね。
あとこれは余談ですが、じつはこちらの絵画は複製画(コピー画)の修復話とのこと。
本物の絵画はスペインのプラド美術館に厳重に所蔵されています。
その他の世界の美術品修復ミス
では最後に世界各国の美術品の修復失敗例をまとめてお届けします♪
まずはベルギーから。
【RT100UP】 羊が人化?「ヘントの祭壇画」の修復で聖なる羊がヒューマノイド・シープに変貌(ベルギー) https://t.co/q5NHu0jtsL pic.twitter.com/4YgSTvQ4QZ
— カラパイア (@karapaia) January 29, 2020
修復ミスにより、目の位置がおかしなことになって「人面羊」になってしまっています(笑)
お次はトルコのモザイク画。
古代ローマのモザイク画、おざなりな修復に当局が捜査開始 トルコ http://t.co/rqSEncwfOF 世界の最新ニュースはこちらから→http://t.co/KUUC57fp1s pic.twitter.com/qO8gYokIfJ
— AFPBB News (@afpbbcom) May 7, 2015
これもかなりやらかし気味です(笑)
日本でも修復失敗といわれているものがありました♪
私は日本スゴイ論嫌いだからいいけど、そうした(日本スゴイ論愛好家の)人からしたら日光東照宮の修復失敗はショッキングでしょうね pic.twitter.com/gIEQZsL9Y5
— プリキュ (@nekolovercat) November 12, 2020
左が修復後で、右が修復前。
猿の目に違和感を感じますねー。
まとめ:世界の美術品「修復失敗」一覧
今回は、世界の美術品の修復失敗を紹介してきました。
いろいろ調べた感想としては、やはり芸術大国スペインが無敵でした(笑)
ピカソを生んだスペイン、やはり国民性なのか、すべてにおいてユーモアと独創性がありますね。
あと、今回調べていくうちに分かったのは、失敗しているモノの多くは、いうほど重要文化財ではありませんでした。
多少大げさな報道だったのかもしれませんね。
たしかに、世界の重要な美術品などは美術館などで保管されているでしょうし、それ専門の方がしっかり管理しているはずですからね。
とはいえ、面白い話題でしたので、非常に楽しませてもらえました♪
またスペインには楽しい話題を期待したいところです♪