2023年の年末に行われる予定のスーパーバンタム級4団体統一戦で、モンスター井上尚弥との対戦がほぼ確定のマーロン・タパレス。
日本ではあまり知られていないマーロン・タパレスとは一体どんなボクサーなのか?
本記事では、マーロンタパレスのプロフィールや戦績はもちろん、タパレスの幼少期の壮絶な家庭環境や、ボクシングを目指すきっかけとなった出来事、そしてタパレスの過去の試合映像などからファイトスタイルや特徴や弱点など、どこよりも詳しく紹介しています。
これを読めば、井上尚弥vs.マーロン・タパレス戦が10倍楽しくなること間違いなしです♪
関連記事
マーロン・タパレスのプロフィール
本 名 | マーロン・タナン・タパレス |
通 称 | マランディングの悪夢 |
生年月日 | 1992年3月23日(31歳) |
国 籍 | フィリピン(北ラナオ島トゥボッド) |
階 級 | スーパーバンタム級(55.34kg) |
身 長 | 163cm |
リーチ | 166cm |
スタンス | サウスポー |
戦 績 | 40戦37勝(19KO)3敗 |
KO率 | 51.3% |
デビュー | 2008年7月18日 |
※経験階級:ライトフライ級、フライ級、スーパーフライ級、バンタム級、スーパーバンタム級
マーロン・タパレスの生い立ち
マーロン・タパレスは、フィリピンの北ラナオ州で生まれ、8人兄弟(5男・3女)、計10人の大家族の中で育ちます。
母親のマリアさんは保育士、父親のエミリオさんは農家(米作)で働き、1日150ペソ(日本円で約430円)を稼いでいたようです。
しかし、10人家族の大所帯でその稼ぎでは到底生活できるレベルではなく、タパレス自身も学校に通いながら養豚場で働く必要があったのです。
ボクシングとの出会い
9歳になったタパレスは、当時フィリピンで活躍していたジェリー・ペニャロサの試合を見てボクシングに興味を持ち始めます。
そして12歳になった頃、一緒に養豚場で働いていた近所の友人ジュリアス・ナビオからボクシングを勧められたのをきっかけに、「ボクシングで世界チャンピオンになる」という夢を本気で考えるようになるのです。
そして、それを聞いたタパレスの兄弟たちはタパレスにグローブやマウスピースをプレゼントしてくれます。
しかし、当時のマーロン家にはボクシングジムに通えるお金などあるはずもなく、もらったグローブやマウスピースを使い、見よう見まねで独学でボクシングを学ぶしかなかったのです。
アマチュア時代は地下格でボクシング
じつはタパレスの経歴には、正式なアマチュアボクシング経験はありません。しかし、タパレスは日本でいうところの「地下格闘技」的な非公式リングで約30回ほどの試合を経験しています。
そこで戦う相手は体重も身長もバラバラ、ヘッドギアもマウスピースすら付けない、今考えたら相当危険なボクシングでした。
ただし、当時の彼にとってはボクシングも経験できて、しかも勝者には30ペソ(日本円で78円)、負けても20ペソ(52円)もらえるという、これ以上ない素晴らしいリングだったといいます。
家族のため本格的にボクシングを学ぶ
地下格闘技でその強さを発揮し続けたタパレスですが、15歳になると高校を中退し、本格的にボクシングを習うためにジムに通い始めます。やはり地下格闘技場では学びに限界があると感じたようです。
そして、タパレスが16歳の2008年7月18日、夢の第一歩、ボクシングのプロデビューを果たし、見事1R TKO勝ちを収めます。こうして幼い頃からの夢だった「ボクシングでチャンピオンになり家族を幸せにする!」というタパレスのサクセスストーリーが始まったのです。
そして現在マーロン・タパレスは、純資産500万ドル(日本円にして7億3千万円)もの大金を手にして、奥さんのジェイヴィー・シーンさんと2歳の娘カヤ・ヴァレリーちゃんの家族3人で幸せに暮らしているとのことです。
関連記事
マーロン・タパレスのボクシング戦績
試合日 | 結果 | 内容 | 対戦相手 | 試合タイトル |
---|---|---|---|---|
2008/07/18 | ○ | 1R TKO | ネストール・ガモロ | デビュー戦 |
2008/08/23 | ○ | 4R 判定 2-0 | シェルウィン・マクドルンガイ | |
2008/09/20 | ○ | 6R 判定 3-0 | ジェロム・ツヨール | |
2008/11/19 | ○ | 6R 判定 3-0 | フレディ・マルティネス | |
2008/12/27 | ○ | 1R TKO | チャーリー・ラミラ | |
2009/01/15 | ○ | 8R 判定 3-0 | ライアン・タンパス | |
2009/03/25 | ○ | 10R 判定 3-0 | ロデル・テハレス | |
2009/04/19 | ○ | 10R 判定 3-0 | マイケル・ロドリゲス | |
2009/05/30 | ● | 6R 棄権 | ブリックス・レイ | PBF比国フライ級王座挑戦 |
2009/08/29 | ○ | 10R 判定 3-0 | ヘルソン・マンシオ | |
2009/11/08 | ○ | 10R 判定 3-0 | アルマンド・デラクルス | |
2010/01/23 | ○ | 2R TKO | ランディ・ペタルコリン | |
2010/04/09 | ○ | 7R TKO | ワルリト・パレナス | PBF比国フライ級王座獲得 |
2010/06/12 | ○ | 12R 判定 3-0 | チャーリー・カビジャ | PBF比国フライ級王座防衛 |
2010/10/06 | ○ | 10R 判定 3-0 | リチャード・オリサ | |
2010/11/05 | ○ | 10R 判定 3-0 | レイ・ミグリノ | |
2011/02/06 | ○ | 1R TKO | チャーリー・カビジャ | |
2011/05/06 | ○ | 6R 判定 2-0 | アレハンドロ・ソロリオ | |
2011/06/25 | ○ | 4R TKO | ルークラック・キャットマンミー | |
2011/10/09 | ○ | 10R 判定 3-0 | モービル・マーチン | |
2011/11/17 | ○ | 3R TKO | レックス・オリサ | |
2012/10/20 | ○ | 2R TKO | ラスマヌディン | |
2013/02/23 | ● | 12R 判定 0-2 | ダビド・サンチェス | WBCスーパーフライ級シルバー王座挑戦 |
2013/05/26 | ○ | 4R TKO | ルーベン・マナカネ | |
2013/08/01 | ○ | 12R 判定 3-0 | フレディレックス・ロドリゲス | WBOアジア太平洋バンタム級王座獲得 |
2014/02/08 | ○ | 10R 判定 3-0 | ガリー・スサント | |
2014/04/13 | ○ | 5R 負傷判定 2-0 | 木村 隼人 | |
2014/06/28 | ○ | 12R 判定 3-0 | ファジーリ・マヒハ | WBOアジア太平洋バンタム級王座防衛 |
2015/01/31 | ○ | 2R TKO | ジェッカー・ブハウェ | |
2015/12/16 | ○ | 2R TKO | 大森 将平 | WBO世界バンタム級挑戦権獲得 |
2016/07/27 | ○ | 11R TKO | プンルアン・ソー・シンユー | WBO世界バンタム級王座獲得 |
2017/04/23 | ○ | 11R TKO | 大森 将平 | 計量オーバーのためWBO世界バンタム級王座剥奪 |
2018/09/30 | ○ | 1R TKO | グッドラック・ミレマ | |
2019/02/16 | ○ | 5R 棄権 | フェルナンド・バルガス・パーラ | |
2019/06/01 | ○ | 3R TKO | ロベルト・カスタネダ | |
2019/12/07 | ● | 11R TKO | 岩佐 亮佑 | IBF世界スーパーバンタム級暫定王座挑戦 |
2020/11/21 | ○ | 2R TKO | エデン・ソンソナ | |
2021/12/11 | ○ | 2R TKO | 勅使河原 弘晶 | IBF世界スーパーバンタム級挑戦権獲得 |
2022/05/14 | ○ | 2R TKO | ホセ・エストラーダ | |
2023/04/08 | ○ | 12R 判定 2-1 | ムロジョン・アフマダリエフ | IBF世界スーパーバンタム級王座獲得、WBA世界スーパーバンタム級スーパー王座獲得 |
※赤字はタイトル獲得
マーロン・タパレスが負けた3試合
- 2009年5月30日
【PBF比国フライ級王座挑戦】
マーロン・タパレスがブリックス・レイ(フィリピン)に6R棄権で敗れる。
- 2013年2月23日
【WBCスーパーフライ級シルバー王座決定戦】
マーロン・タパレスがデビッド・サンチェス(メキシコ)に12R 判定0-2で敗れる。
- 2019年12月7日
【IBF世界スーパーバンタム級暫定王座挑戦】
マーロン・タパレスが岩佐亮佑(セレス)に11R TKOで敗れる。
マーロンタパレスのこれまでの実績
■実績
- 世界2階級制覇(バンタム級・スーパーバンタム級)
- 主要2団体統一(WBA・IBF世界スーパーバンタム級)
■獲得タイトル
- フィリピンGABライトフライ級王座
- WBOアジア太平洋バンタム級王座
- WBO世界バンタム級王座
- WBA世界スーパーバンタム級スーパー王座
- IBF世界スーパーバンタム級王座
■The Ring(米ボクシング誌)のスーパーバンタム級のランキング
マーロン・タパレスのファイトスタイル・特徴
デビューして連勝を重ねるごとにボクシング関係者からは「ネクストパッキャオ」と評されていたマーロン・タパレス。
彼のボクシングスタイルは一体どんなものなのか?タパレスの実力や特徴、そして敗戦から垣間見えてきた弱点なども深掘りしていきます。
右のジャブ・右のフック・左ストレート
サウスポーのタパレスの武器は、中間距離からの上下に打ち分けるジャブ・接近戦での右の高速カウンターフック、左の大ぶり気味なストレートなどです。
右フックに関しては、2019年にタパレスと対戦した岩佐亮介選手が
タパレスの右フックは、見えにくい角度からいきなり飛んで来るんです。しかも、思った以上に伸びてくる。ジャブの距離よりも長いフックが飛んできますから
と試合後に話をしているぐらい強力です。
重心を低く構え、アグレッシブに動きながら相手を翻弄していくサウスポースタイルは、さながらリトルパッキャオをみているような気さえします。ただ、ここ最近の試合ではメイウェザーが使っていたL字ガードを多用しているので若干ファイトスタイルが変わってきています。
番狂わせを起こす強靭なメンタル
4月8日に行われたムロジョン・アフマダリエフ戦の直前オッズでは、アフマダリエフ1.2倍・タパレス4.3倍と、タパレスの前評判は決して良いものではありませんでした。しかし、フタを開けてみれば12R 判定(2-1)でタパレス勝利、多くのファンやメディア関係者を驚かせています。
vs.井上尚弥戦ではどのくらいのオッズ差がつくのかは不明ですが、ここぞという大一番に力を発揮するタパレスはやはり怖い存在といえるでしょうね。
もう一つ、タパレスのメンタルの強さを象徴する試合が、2016年7月27日に行われたプンルアン・ソー・シンギュとのWBO世界バンタム級王座戦。
タパレスは中盤で2度のダウンを奪われますが、11Rに奇跡の大逆転勝利(TKO)を飾っています。タパレスは勝利への執念が最後の最後まで途切れず残っていたんですね。
マーロン・タパレスの弱点
まず最初に、無敗の王者だったムロジョン・アフマダリエフを倒して2団体統一王者になっている時点で、タパレスに弱点という弱点はないのかもしれません。ただし、vs.井上尚弥を想定した場合は少し話が変わってきます。
まず一つ目に、タパレスの武器の一つでもある振りかぶった左ストレートは井上尚弥には簡単には当たらないでしょう。さらに、タパレスの一番の弱点はディフェンス面なのかもしれません。
先述したように最近タパレスはL字ガードを多用しているせいか、大ぶりの左ストレートを打った後にけっこうカウンターをもらっているんですよね。そこに井上尚弥の強烈な右や得意の左フックが入ると、フルトンやドネア2のような終結になってしまうかもしれません。
マーロン・タパレスの過去の試合動画
マーロン・タパレスの過去に行われた試合動画(公式)がYouTubeで上がっていましたので、まとめて載せておきます。
■タパレスvs.アフマダリエフの試合動画
2023/04/08 vs.ムロジョン・アフマダリエフ 12R 判定 2-1
■タパレスvs.カスタネダの試合動画
2019/06/01 vs.ロベルト・カスタネダ 3R TKO
マーロン・タパレスの過去の失態(軽量オーバー)
マーロン・タパレスにはボクサーとしてあるまじき汚点が一つだけあります。それが2017年4月23日に行われた大森将平戦での計量オーバー(減量失敗)。
- 計量1時間前550gオーバー
- 調印式時間になってもあらわれず、すっぽかす。
- 計量定刻800gオーバー
- 再計量900gオーバー
なぜか計量するたびに体重が増えていくという不可思議な現象が起きてしまい、タパレスは涙ながらに「申し訳ない」と対戦相手の大森将平選手に深く謝罪しています。
結局WBOは、「大森が勝てば新王者、タパレスが勝った場合は空位」と定め試合を決行。結果は、計量超過のタパレスが11R TKO勝ちを収め、その後王座剥奪、WBOバンタム級王座は空位になったという、なんとも後味の悪い出来事だったのです。
7月25日(火)に行われた井上尚弥vs.フルトン戦の試合を観に来ていたタパレスは、パッとみた感じでかなり体重が増えている感じでしたので、ちょっとこれは怖いですねー。
ただ、この軽量失敗は6年も前のことですし、今回の井上尚弥戦はタパレスにとって自身最高ファイトマネー額を手にする試合ですから、さすがに調整してくるはず…たぶん。
というか、計量するたびに体重が増えるって、タパレス絶対何かこっそり食べた(飲んだ)だろ!とツッコミたくなりますよねー。しかもタパレス、計量オーバー後に夕食を食べ過ぎてお腹を壊したとのことで、もう一周まわって逆にすごいメンタルだなと感心しますね(笑)
マーロン・タパレスとはどんなボクサー?まとめ
ということで今回は、2023年 年末に行われる予定のスーパーバンタム級4団体統一戦、モンスター井上尚弥の対戦相手、マーロン・タパレスについて詳しく紹介してきました。
やっぱりボクシングの戦績や実績だけではなく、その選手の生い立ちやボクシングを始めたバックグラウンドなどを知ると、また違った見え方がしてとても面白いですよね♪
今年の年末行われる予定のモンスター井上尚弥戦では、「タパレスでは役不足」やら「井上の4団体統一は確定」などと言われていますが、やはりタパレスも並外れた日々の努力と尋常ではない覚悟を持ってここまで上り詰めた2団体統一チャンピオンなわけですから、そこはリスペクトを欠くことなく観戦・応援していきたいなと思います。
ぜひ、2023年最大のボクシングイベント、スーパーバンタム級 世界4団体統一戦「井上尚弥vs.マーロン・タパレス戦」を一緒に盛り上げていきましょう♪
最新情報