日本人初の世界バンタム級4団体統一チャンピオンとなり、颯爽と一つ上のスーパーバンタム級に駆け上がった井上尚弥。返上した4つのベルトのその行方は?
ということで、各選手色めきだっている混戦模様のバンタム級戦線の状況を、最新バンタム級世界ランキングや頭角を表し始めている注目のボクサーとともにお伝えしていきます!
注目! モンスター井上尚弥の最新試合情報はこちら
関連記事
ボクシング バンタム級世界ランキング表
ボクシングの世界には主要な4つの団体(WBA・WBC・IBF・WBO)があり、同じ階級(バンタム級 53.5kg)であっても、それぞれの団体にチャンピオンが存在します。
現在のバンタム級世界チャンピオンは以下4名です。
- WBA…井上拓真
- WBC…アレハンドロ・サンティアゴ
- IBF…エマニュエル・ロドリゲス
- WBO…ジェイソン・モロニー
モンスター井上尚弥はこの4団体の全てのチャンピオン、つまりバンタム級の4団体統一王者となっているんですねー。これはバンタム級では初の快挙であり、全階級でも史上9人目の偉業となります♪
では、チャンピオン以下、各団体のランキングTOP10を見ていきましょう♪
■バンタム級 世界ランクTOP10
Rank | WBA | WBC | IBF | WBO |
---|---|---|---|---|
王者 | 井上拓真 | アレハンドロ・サンティアゴ | エマニュエル・ロドリゲス | ジェイソン・モロニー |
1 | 石田匠 | ナワポン・ソー・ルンヴィサイ | 空位 | レイマート・ガバリョ |
2 | アントニオ・バルガス | ヴィンセント・アストロラビオ | 空位 | 西田凌佑 |
3 | 堤聖也 | ペッチ ソル チッタッタナ | メルビン・ロペス | ジェルウィン・アンカハス |
4 | カリド・ヤファイ | 栗原慶太 | レイマート・ガバリョ | 石田匠 |
5 | ビクトル・サンティリャン | ゲイリー・アントニオ・ラッセル | 西田凌佑 | ゲイリー・アントニオ・ラッセル |
6 | ジェルウィン・アンカハス | フアン・マルティネス・アヤラ | クリスチャン・メディーナ | ポール・バトラー |
7 | リボリオ・ソリス | ポール・バトラー | 栗原慶太 | クリスチャン・メディーナ |
8 | 比嘉大吾 | 西田凌佑 | 石田匠 | 比嘉大吾 |
9 | エロス・コレア | 石田匠 | ジェルウィン・アンカハス | ディラン・プライス |
10 | 武居由樹 | ノニト・ドネア | 堤聖也 | サウル・サンチェス |
WBCランキング:2023年8月11日付
IBFランキング:2023年8月15日付
WBOランキング:2023年8月15日付
意外と日本人が多いですよね。過去には辰吉丈一郎や薬師寺保栄、亀田興毅なんかもこの階級で戦っていましたので、じつは日本人には馴染み深い階級なんですよね。
ボクシング バンタム級で今注目の選手8名を紹介!
それでは、改めて現在のバンタム級有力選手たちを見ていきましょう!あのお馴染みの選手から初めて名前を聞く選手まで、いろいろ紹介します。
ジェイソン・モロニー【27戦 25勝 (19KO) 2敗】
- 本 名:ジェイソン・モロニー
- 通 称:Mayhem (騒乱)
- 国 籍:オーストラリア(ビクトリア州)
- 戦 績:27戦 25勝 (19KO) 2敗
- 年 齢:1991年1月10日(32歳)
- 身 長:165cm
- リーチ:170cm
- スタイル:オーソドックス
- デビュー:2014年8月15日
現WBO世界バンタム級王者。井上尚弥との試合で人生2度目の敗北を喫したあと、破格の4連勝(KO1、判定3)でWBO世界バンタム級王座に返り咲いた。今最も勢いのあるバンタム級ボクサーの一人。
ちなみに2度の敗戦のもう一人の相手はエマヌエル・ロドリゲスで、そのロドリゲスものちに井上尚弥に2R 1:19でKOされている。ぜひロドリゲスとの2団体統一王者をかけた再戦をみたいところ。本人も再戦を熱望している。
■WBO世界バンタム級王座決定戦(2023年5月13日 )
vs.ビンセント・アストロラビオ戦
エマニュエル・ロドリゲス【25戦 22勝 (13KO) 2敗 1無効】
- 本 名:エマヌエル・ロドリゲス・バスケス
- 通 称:El Matador(闘牛士)
- 国 籍:プエルトリコ(マナティー)
- 戦 績:25戦 22勝 (13KO) 2敗 1無効
- 年 齢:1992年8月8日(31歳)
- 身 長:168cm
- リーチ:169cm
- スタイル:オーソドックス
- デビュー:2012年6月1日
現IBF世界バンタム級王者。井上尚弥のお父さんでありトレーナーの慎吾さんをロドリゲス陣営が突き飛ばしたことで日本中から反感をかったのは記憶に新しいところ。モンスターの怒りをかってしまったロドリゲスは無惨なまでに叩きのめされKO負けを喫した。
その後、5試合を行い3勝1敗 無効試合1。2023年8月12日にメルビン・ロペス(25 =ニカラグア)に12R 判定3-0で勝利し、再びIBF世界バンタム級王座に返り咲いている。本人いわく「目標はバンタム級最強、4団体統一王者になること」と話すように、ロドリゲスか井上拓真との対戦を希望している。
■メルビン・ロペスとの試合映像(2023年8月12日)
井上 拓真【19戦18勝(4KO)1敗】
- 本 名:井上拓真
- 通 称:なし
- 国 籍:日本(神奈川)
- 戦 績:19戦18勝(4KO)1敗
- 年 齢:1995年12月26日(27歳)
- 身 長:164cm
- リーチ:163cm
- スタイル:オーソドックス
- デビュー:2013年12月6日
現WBA世界バンタム級王者であり、ご存じモンスター井上尚弥の実弟。19戦18勝の井上拓真の唯一の敗戦は、2019年11月7日のWBC王座統一をかけたノルディーヌ・ウバーリ戦。結果は12R 3-0の判定負けだった。同日には井上尚弥vs.ドネア戦(1回目)が行われていた。
その後は順調に勝ち星を重ね5連勝、2023年4月8日にWBA世界バンタム級王座をかけたリボリオ・ソリス戦に12R 2-1の判定で勝利し、兄が返上したWBA世界バンタム級王座を手に入れている。次戦は指名防衛戦でWBA1位の石田匠との日本人対決が見られるかもしれない。
■ジェイク・ボルネアとの試合映像(2022年12月13日)
ノニト・ドネア【50戦42勝(28KO) 8敗】
- 本 名:ノニト・ゴンザレス・ドネア・ジュニア
- 通 称:フィリピンの閃光
- 国 籍:フィリピン(ボホール州)
- 戦 績:50戦42勝(28KO) 8敗
- 年 齢:1982年11月16日(40歳)
- 身 長:170.2cm
- リーチ:174cm
- スタイル:オーソドックス
- デビュー:2001年2月22日
日本でも人気のノニト・ドネア。ボクサーとしての実力はもちろんのこと、素晴らしい人間性を兼ね添えた現在40歳で老いてなお盛んなレジェンドの一人。
2022年6月に井上尚弥にKO負けしてからの再起戦、アレハンドロ・サンティアゴ(27=メキシコ)とWBC世界バンタム級王座をかけて戦うも、残念ながら12R 3-0の判定で敗れてしまった。ぜひもう一度カムバックして、フィリピンの閃光といわれたあの「左フック」を見たい。
■ノルディン・ウバーリとの試合映像(2021年5月29日)
アレハンドロ・サンティアゴ【36戦28勝 (14KO) 3敗5分】
- 本 名:アグスティン・アレクサンドロ・サンティアゴ・バリオス
- 通 称:Peque(小さい)
- 国 籍:メキシコ(バハ・カリフォルニア州)
- 戦 績:36戦28勝 (14KO) 3敗5分
- 年 齢:1996年2月7日(27歳)
- 身 長:159cm
- リーチ:166cm
- スタイル:オーソドックス
- デビュー:2012年12月21日
現WBC世界バンタム級王者。2023年7月にノニト・ドネアと激闘の末、12R判定3-0で勝利を収め、WBC世界バンタム級王座を獲得した。
■ノニト・ドネアとの試合映像(2023年7月)
ディラン・プライス【16戦16勝(10KO) 無効1】
- 本 名:ディラン・クリストファー・プライス
- 通 称:リアル・ディル
- 国 籍:米国(ペンシルベニア州)
- 戦 績:16戦16勝(10KO) 無効1
- 年 齢:1998年8月17日(26歳)
- 身 長:165cm
- リーチ:不明
- スタイル:オーソドックス
- デビュー:2017年2月4日
デビュー以来16戦全勝で勢いに乗る26歳。2022年7月にNBA米国バンタム級王座、NABO北米バンタム級王座の二つのベルトを獲得し、現在WBO世界バンタム級9位。
2019年にペドロ・アントニオ・ロドリゲスに6R 2-1の判定負けを喫するが、後日ロドリゲスのドーピングが発覚し無効試合となっている。
■エドウィン・ロドリゲスとの試合映像(2021年7月)
フラン・メンドーサ【17戦17勝(7KO)】
- 本 名:ロケ・メンドーサ・アロヨ
- 通 称:なし
- 国 籍:コロンビア
- 戦 績:17戦17勝(7KO)
- 年 齢:1997年3月1日(26歳)
- 身 長:160cm
- リーチ:不明
- スタイル:オーソドックス
- デビュー:2018年7月20日
2023年10月21日に7戦全勝(5KO)のピーター・マクグレイル(27=イギリス)との無敗同士の対戦が決まっている。
■フラン・メンドーサの試合映像(2019年ごろ)
レイマート・ガバリョ【26戦25勝21KO1敗】
- 本 名:レイマート・グランデ・ガバリョ
- 通 称:ジェネラル・サントスの暗殺者
- 国 籍:フィリピン
- 戦 績:26戦25勝21KO1敗
- 年 齢:1996年8月24日(27歳)
- 身 長:169cm
- リーチ:173cm
- スタイル:オーソドックス
- デビュー:2014年2月2日
2020年に井上尚弥に負けた直後のエマヌエル・ロドリゲスを12Rの判定(2-1)で撃破している実力者。
人生唯一の敗戦はノニト・ドネア。2021年12月にWBC王座統一戦に挑み、4回2分59秒KO負けを喫しマットに沈んでいる。その後は見事2連勝して復活、WBO世界バンタム級1位、IBF同級4位につけている。
■唯一の敗戦ノニト・ドネア戦(2021年12月)
井上尚弥に敗れたあの選手のその後はどうなってる?(現在の姿)
■ポール・バトラー
(元WBO・IBF世界バンタム級王者)
■アラン・ディパエン
■マイケル・ダスマリナス
■ファン・カルロス・パヤノ
(元WBA世界バンタム級スーパー王者)
■ノルディーヌ・ウバーリ:2022年4月5日に引退宣言するも24日後に撤回、2年ぶりの試合に判定負けを喫している。
バンタム級で今後活躍が期待される日本人ボクサー5選
続いては、バンタム級での成長著しい日本人選手も見ていきましょう。近い将来チャンピオンになるであろう期待のボクサーばかりです♪
武居由樹(たけい よしき)
- 戦 績:7戦7勝7KO
- 年 齢:1996年7月12日(27歳)
- 身 長:170cm
- リーチ:173cm
- スタイル:サウスポー
- デビュー:2021年3月11日
- 所 属:大橋ボクシングジム
現OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者。K-1からボクシングに転向して7戦全勝し、すべてKO勝利しているハードパンチャー。近い将来、バンタム級チャンピオンになると期待されている逸材。デビューから6戦目までは1階級上のスーパーバンタム級を主戦場としていたが、同門の井上尚弥がスーパーバンタム級に転向を表明したため、現在はバンタム級を主戦場にしている。
石田匠(いしだ しょう)
- 戦 績:36戦33勝(16KO)3敗
- 年 齢:1991年11月17日(31歳)
- 身 長:172cm
- リーチ:182cm
- スタイル:オーソドックス
- デビュー:2009年2月8日
- 所 属:井岡ボクシングジム
WBA世界バンタム級1位。2023年6月にWBA世界バンタム級4位のビクトル・サンティリャンに12R 2-1の判定勝ちを収め、現王者の井上拓真への挑戦権を獲得。すんなり試合が組まれれば、WBA世界バンタム級チャンピオンになれるチャンス。石田匠はスーパーフライ級の元日本チャンピオンで、2020年から現在のバンタム級に転向している。
西田凌佑(にしだ りょうすけ)
- 戦 績:8戦8勝(1KO)無敗
- 年 齢:1996年8月7日(27歳)
- 身 長:170cm
- リーチ:不明
- スタイル:サウスポー
- デビュー:2019年10月3日
- 所 属:六島ボクシングジム
WBO世界バンタム級2位。現WBOアジアパシフィックバンタム級王者。2021年4月にはプロ4戦目で比嘉大吾を12R 判定3-0で下している。アウトボクシングが得意で、亀田興毅からは「浪速のメイウェザー」と評された。さらに、2023年8月には12連勝中だったクリスティアン・メディナ(23=メキシコ)を12R 3-0の判定で下し、IBF世界バンタム級王座を戴冠したエマヌエル・ロドリゲスとの挑戦権を獲得している。
堤聖也(つつみ せいや)
- 戦 績:11戦9勝(7KO)無敗2分
- 年 齢:1995年12月24日(27歳)
- 身 長:166cm
- リーチ:不明
- スタイル:サウスポー(スイッチ)
- デビュー:2018年3月27日
- 所 属:角海老宝石ボクシングジム
WBA世界バンタム級3位。現日本バンタム級王者。アマチュア時代には101戦84勝(40KO)の実績を誇り、プロ転向後は11戦無敗。2023年5月にスタートした優勝賞金1000万円を賭けた「井上尚弥4団体統一記念杯 バンタム級モンスタートーナメント」では決勝まで進み、同年12月26日に穴口一輝と決勝戦が行われる予定。
穴口 一輝(あなぐち かずき)
- 戦 績:6戦6勝(2KO)
- 年 齢:2000年5月12日(23歳)
- 身 長:166cm
- リーチ:不明
- スタイル:サウスポー
- デビュー:2021年7月24日
- 所 属:真正ボクシングジム
プロになってから6戦とまだ浅いものの、アマチュア時代には76戦68勝とかなり実績ある期待の新人ホープ。「井上尚弥4団体統一記念杯 バンタム級モンスタートーナメント」では見事決勝までコマを進め、現日本バンタム級王者の堤聖也と優勝賞金1000万円を賭けて拳を交える。
関連記事
世界バンタム級 歴代チャンピオン【日本人編】
では最後に、過去にバンタム級世界チャンピオンに就いたことのある日本人レジェンドボクサーを紹介していきます。
✅世界バンタム級 歴代チャンピオン【日本人編】
歴代王者 | WBA | WBC | IBF | WBO | 取得年月日 |
ファイティング原田 | ◯ | ◯ | 1965年5月19日 | ||
新垣 論 | ◯ | 1984年4月15日 | |||
辰吉 丈一郎 | ◯ | 1992年9月19日 | |||
辰吉 丈一郎 | ◯ | 1993年7月22日 | |||
薬師寺 保栄 | ◯ | 1993年12月23日 | |||
辰吉 丈一郎 | ◯ | 1997年11月22日 | |||
戸高 秀樹 | ◯ | 2003年10月4日 | |||
長谷川 穂積 | ◯ | 2005年4月16日 | |||
亀田 興毅 | ◯ | 2010年12月26日 | |||
中山 慎介 | ◯ | 2011年11月6日 | |||
亀田 和毅 | ◯ | 2013年8月1日 | |||
井上 尚弥 | ◯ | 2018年5月25日 | |||
井上 拓真 | ◯ | 2018年12月30日 | |||
井上 尚弥 | ◯ | 2019年5月18日 | |||
井上 尚弥 | ◯ | 2022年6月7日 | |||
井上 尚弥 | ◯ | 2022年12月13日 | |||
井上 拓真 | ◯ | 2023年4月8日 |
さすがに世界チャンピオンだけあって聞いたことのあるレジェンドばかりだったのではないでしょうか♪
ぶっちゃけ一つの団体のチャンピオンになることすらこれだけ難しいことなんですけど、それを4団体全てのチャンピオンベルトを同時期に揃えてしまった井上尚弥はやはり間違いなくモンスターだったわけです(笑)
なんだか同じ日本人として誇らしく思いますよね。また、第2、第3のモンスターが誕生して日本中を沸かせてほしいものです♪
■井上尚弥の階級、スーパーバンタム級の世界ランキングはこちら
関連記事