国税庁は、2020年10月1日より酒税法(お酒にかかる税率)を改正し、その影響で『第三のビール』といわれているお酒が*値上げされると発表しました。
*350mlあたり28円⇒37.8円に増税
『また税金が上がるのかぁ~』などと愚痴を言いたくなる話題ですが…
ところで…『第三のビール』ってなに?『ビール』や『発泡酒』とどう違うの?
という、「そもそも第三のビールとは?」をわかりやすく解説して、疑問を解決していきたいと思います。
✓ この記事を読むと…
- そもそも『第三のビール』とはなんなのか?
- ビールや発泡酒との違い
- 酒税が上がる本当の理由
がわかるようになります。
※新ジャンル(第三のビール)の各メーカー銘柄一覧はこちらから確認できます。
「第三のビール」ってなに?
『第三のビール』って、そもそもなに?「第一」とか「第二」とかってあるの?
まずは定番の「Wikipedia」で調べてみました。
「第三のビール」という用語自体はビール、発泡酒に続くことから、新聞社や放送局などのマスメディア・広告代理店によって作られた用語である。あくまでもビールではないので表現としては不正確であるが、用語として定着している。
※引用元:Wikipedia「第三のビール」
なるほど、『第三のビール』という呼称、じつはマスコミなどにより浸透した造語ネーミングだったんですね。
ようするに、「ビール」「発泡酒 」と区分けする為に、『第三のビール』と呼んでいる、ということですね。
『第三のビール』の定義とは?
では、じっさいに『第三のビール』とはどういったものを指すのか、その定義をわかりやすく解説していきます。
✓ 『第三のビール』の定義
- 原料を「麦・麦芽」以外の穀物で作っている
または - 発泡酒に別のアルコール飲料を混ぜたもの
※別のアルコール飲料:麦のスピリッツや焼酎など
ちょっと分かりづらいと思いますので、もっと分かりやすくすると…
- 麦や麦芽をほぼ使っていないビール
もしくは - 『発泡酒』をスピリッツ等で割った飲み物
※スピリッツとは、焼酎、ウイスキー、ブランデーなど
※わかりやすくする為に、詳細や区分は割愛
…とすると、「麦・麦芽」以外の原材料から造られている『第三のビール』というのは、もはや本来の『ビール』とはほど遠い飲み物なんですね。
「ビール」「発泡酒」「第三のビール」との違いと比較表
ここまで『第三のビール』について解説してきました。
でも、具体的に「ビール」や「発泡酒」とどう違うのか、まだよく分かりづらいですよね。
ということで、今度は具体的に『ビール』『発泡酒』『第三のビール』の違いを一覧表にまとめてしてみました。
✓ 「ビール」「発泡酒」「第三のビール」の比較一覧表
ビール | 発泡酒 |
第三のビール |
|
正式名称 | ビール | 発泡酒 |
その他の発泡性酒類 |
原 料 | 麦芽、麦 | 麦芽、麦 | 糖質・大豆・エンドウ・トウモロコシなど |
麦芽比率 | 50%以上 | 50%未満 |
不使用 |
アルコール |
20%未満 | 20%未満 |
10%未満 |
酒税率 (350ml) |
77円⇒70円 | 47円 |
28円⇒37.8円 |
※ 『発泡酒』は一般的に麦芽比率25%未満のものが多く採用されている為、それ以外の発泡酒は省略。 上記酒税率は2020.10月1日改定
なんとなく、その違いが見えてきたでしょうか?
ようするに、「麦芽比率」によってその呼び名が変わっているということなんですね。
しかしなぜ、「麦芽比率」によって名称を変える必要があったのでしょうか?
次は、『第三のビール』という区分をした本当の理由について掘り下げていきます。
『第三のビール』という区分をした本当の理由
『第三のビール』とか「発泡酒」だとか「ビール」だとか、消費者にとって分かりづらい区分をしたのはなぜなのか?
その答えを知るには、まず「お酒にかかる税金」を知る必要があります。
1958年(昭和28年)国税庁は、お酒に対して税金をかける法律、いわゆる「酒税法」を作りました。
その「酒税法」は、お酒の中に入ってる「麦芽」の量・割合(%)に応じて税金がかかる仕組みになっているんですね。
そしてお酒を造る会社(酒造メーカー)は考えました。
「麦芽」の使用比率を下げたら、税金下がるってことか…。
よし、みんなが喜ぶ安いビールを造ろう!
こうして誕生したのが、麦芽使用比率を67%未満に落としたビール風味の「発泡酒」ですね。
「発泡酒」は、値段が安く、味もビールとほとんど変わらなかったために、爆発的に売れました。
しかし、売れると黙っていないのが国税庁です。
今度は「発泡酒」に対しても、税金を取れるようにと、麦芽使用比率を50%まで税金がかかる法改正(2018.4月)をしてきたわけですね。
そこでさらに酒造メーカーは対策を講じます。
なるほど、やはりそうきたか!
それならさらに麦芽の使用比率を下げて、税金が安く済む新しいビールをつくってやるぞ!
そして、さらに麦芽の使用比率を抑えた『第三のビール』が誕生したわけですねー。
これが超低コストのビール風味ということで、またまた爆発的に人気が出ます。
そして今回、またしても国税庁がやってきたわけですね。
うまいことやりましたねー。
でも『第三のビール』にも、2020.10月から税金がかかる法律になりましたので、ちゃんと収めて下さいよ!
こうして、『第三のビール』は2020.10月から値上げすることになったわけですね。
ビールの値上げの背景には、こうした「製造メーカー」と「国税庁」との静かなる戦いがあったわけです。
ようするに、こうした「いたちごっこ」をする中で、「発泡酒」や『第三のビール』という呼称(呼び方)が生まれていった、というわけです。
まとめ:「第三のビール」とは?ビールや発泡酒との違いと「値上げ理由」をわかりやすく解説
さて、今回は『第三のビール』とはなにか?そして、その酒税法改正の本当の理由について解説してきましたが、お分かりいただけたでしょうか?
テレビやニュースでも、『第三のビール』が値上げするということはよく耳にしますが、その本当の理由についてまでは難しすぎて説明が無かったり、理解できなかったりしますよね。
今回の説明は、あくまでもわかりやすくする為に簡易的に記述しています。
もっと詳しく調べたい方は、国税庁のウェブサイト「お酒についてのQ&A」を参照ください。
なんにしても、今回の『第三のビール』値上げで、また各メーカー駆け込み商戦がにぎわい、まとめ買いが増えるでしょうね♪
今回値上げする、各メーカーの新ジャンル(第三のビール)銘柄一覧はこちらから確認できます。
それもまた、この不景気にはいいことなのかもしれません♪